地図の中から北穂高岳が見える山を探してみましょう。
北穂OBの山岳カメラマン、渡辺幸雄氏の写真と解説でお楽しみください。
北穂高岳は展望が素晴らしいことで知られています。逆に言うなら他の山からも北穂高岳がよく見えることでもあります。穂高連峰の北端にあり、北穂高岳から大キレットが切れ落ちているので、周辺の山々から見ても目を惹く存在です。この夏穂高周辺の山に登ったなら、是非北穂高岳を探してみて下さい。
南岳・獅子鼻岩からの北穂高岳と滝谷(9月初旬、06:00)
左上に北穂高小屋、影の部分が滝谷。大キレット越しに対峙する南岳は穂高の好展望台として人気がある。9月初旬のこの時期は、3000mの稜線では早くも初氷の季節でもある。秋のひんやりとした空気の中、遠くまで明瞭に見渡せるのもこの季節ならではの楽しみである。
前穂高岳から見た北穂高岳と南稜登山道(8月下旬、06:30)
中央が北穂、右奥に槍ヶ岳も見える。前穂高岳は槍穂高で唯一の一等三角点がある山頂。展望も申し分ないがここで朝の時間で撮影するのは骨が折れる。早朝くらい時刻に穂高岳山荘を抜け出し、奥穂を越え、吊尾根を抜けなければならないのだから。その苦労を讃えてくれるかのように槍穂高連峰が迎え入れてくれた。
屏風ノ耳から望む北穂高岳(8月下旬、06:00)
屏風ノ耳は前穂北尾根から派生する北尾根の末端に位置し、橫尾谷から見上げる屏風岩の一部にあたる。穂高連峰から程よく対峙する位置にあり、涸沢からはパノラマ新道を使っていける。名前の響きが素敵なパノラマ新道だが、穂高の稜線歩き並に足場が悪いので油断ならない。
常念岳から望む北穂高岳と奥穂高岳(9月下旬、06:40)
中央が北穂、左は奥穂。常念岳山頂は狭く、時に記念写真の順番待ちで列が出来るほど。ここから目を惹く山のひとつが大キレットを従えた北穂高岳。大キレットと呼ばれるだけに大きく稜線が切れ落ちている様が見て取れる。180mmと少し長めの玉(レンズ)で引き寄せると迫力が増す。
西岳からの北穂と奥穂高岳(8月上旬、05:40)
右が北穂、左は奥穂。表銀座を縦走したことがあるなら西岳はご存じだろう。東鎌尾根の難所でもある水俣乗越への大下りが始まる場所だ。ヒュッテ西岳からひと登りで山頂に行けるが意外に訪れる人が少なく、絶景を独り占め出来る隠れたスポットである。
笠ヶ岳キャンプ指定地から望むアーベントロートに染まる穂高連峰(7月下旬、19:00)
北穂(左)、涸沢岳(中央)、奥穂とジャンダルム(右)と連なる。笠ヶ岳にテント山行に出掛けた際、テントを張った後からにわか雨に遭い外に出られずにいた。食事を済ませたあと外を覗いてみると雲が途切れ、槍や穂高が姿を現してくれた。雲間からの夕日が穂高を一瞬染め上げ、夢中でシャッターを切った。
渡辺幸雄/山岳カメラマン
1965年埼玉県越谷市生まれ。東京綜合写真専門学校を卒業後、北穂高小屋勤務を経てフリー。 「山と溪谷」「岳人」などの山岳雑誌で活躍中。北アルプスやネパール・ヒマラヤなど国内外で撮影活動を行っている。著書に「アルペンガイド 槍・穂高連峰」(山と溪谷社刊)などがある。(社)日本写真家協会会員。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。